私には、両腕に傷跡があります。
この記事を書いている時点で10年以上前の傷跡ですが、今でもはっきりと残っていて、夏はアームカバーが欠かせません。
アームカバーを忘れてショッピングモールに行ったことがあったのすが、そのときに真後ろに居た見知らぬ女性に「めっちゃ傷あるやん」と言われ、「やっぱり人が見たら驚くんだな…」と落ち込んだこともありました。
傷つけたこと自体には後悔していない。だってそうしないと生きていけなかったんだから。
でも、これから先傷跡を抱えて生きていくことを考えたら、もっと自分の人生を楽しめるようにキレイに整えたい…!
そう考えて3年、2022年10月中旬に傷跡の上にファーストタトゥーを彫っていただきました。
今回は、傷跡を抱えて悩むすべての方へ、私の体験を交えながら以下のことがわかる記事を書きました。
今回は、記事内で使用させていただいた傷跡のイラストを制作した、看護師でイラストレーターのさくらこさんに記事内の一部を監修していただきました。
気になる記事は見出しから直接読むことができるので、あなたが気になる情報を選んでみてください。
リスカなど傷跡を隠す4つの方法
「タトゥーを入れるのはちょっと…」という方も多いかと思うので、まずは傷跡の隠し方として今日から試せる方法を紹介します。
- 化粧品でカバーする
- ファンデーションテープを貼る
- 手術を受ける
では、それぞれどのように傷跡をカバーすればいいのでしょうか?
1.化粧品でカバーする
傷跡のある部分を、ファンデーションやコンシーラーである程度隠す方法があります。
例えば腕にリスカなどの傷跡がある場合は、顔より薄い色のコンシーラーを選び、傷跡の色味に応じた化粧下地を選ぶことで傷跡をカバーする方法です。
- 傷跡が赤い:グリーン系の化粧下地
- 傷跡が白い:イエロー系orピンク系の化粧下地
上記の色味に加えて、パール感のある化粧下地を選ぶことで光反射で傷を目立ちにくくしてくれる効果があるというお手頃の隠し方。
これは私が10〜20代の頃に、当時大阪なんばウォーク内にあった舞台化粧品屋さんと相談しながら、タトゥーも隠せるコンシーラーを購入して試した方法でしたが、
- 服に化粧品がつく
- 余計浮き上がって見える
- 横線の傷跡はよれてしまう
といったように、キレイに隠すことができなかったので諦めた方法です。
ちなみにせっかく買った舞台化粧用のコンシーラーは、当時コスプレをしていたので、男装をする時に唇の色味を消すのに使っていました。
2.ファンデーションシールを貼る
ファンデーションテープとは肌色のテープのことで、絆創膏などと違って傷跡やタトゥーを隠すのを目的とした専用のテープのことです。
長男を出産後にプールに行くようになったので、ファンデーションテープのいろんな肌の色が入っているお試しパックを購入して試したのですが、
- 安価
- 手軽
- 必要な時にすぐ貼って、不要になったらはがせる
- 浅く薄い傷跡は綺麗に隠せる
- 深くてぷっくりした傷跡は隠せない
- ケロイド状の傷跡は隠せない
- 汗をかくとかぶれる(私の場合)
と、手軽で安いというメリットがある反面、傷跡の状態によってはキレイに傷跡が隠れませんでした。
私の傷跡は隠せませんでしたが、タトゥーを入れた後は「タトゥー隠し」としてお世話になっています。
上手に貼れた!
タトゥーがちょっと大きいから、はみでちゃうけど https://t.co/hvAAEn9aBN pic.twitter.com/igGVD7no5o— わちゃわちゃ (@waCha_waChasuna) December 10, 2022
3.手術を受ける
美容外科手術でリスカなどの傷跡を薄くしたり、目立ちにくくすることができます。
手術で傷跡を目立ちにくくする方法は4つあります。
レーザー治療
リスカのような深く太い傷跡にはあまり効果はありませんが、浅く細い傷跡の場合はレーザー治療(フラクショナルレーザー)によって、傷跡を目立ちにくくすることができます。
レーザー治療では、傷跡に細かい穴を開けて、傷跡の凸凹を平らにすることで、傷跡を薄くする手術方法です。
切除手術(切除縫合)
リスカや根性焼きなど、複数カ所の傷跡が1カ所に密集している傷跡部分の皮膚を切除して縫い合わせることで、怪我の傷跡のような1本の線やジグザグの線にして目立ちにくくする手術方法です。
削皮手術(アブレーション)
リスカや火傷などの広範囲の傷跡や、タトゥーの除去に行われる手術方法。
専用の機器を使用して、皮膚表面の皮膚を薄く削ることで、火傷をしたような傷跡にする手術です。
広範囲の傷跡を面で除去することができ、時間の経過と共に手術による赤みが少しずつ引いていきます。
戻し植皮手術
戻し植皮手術は、ここまでご紹介してきた手術方法の中でも比較的新しい手術方法です。
傷跡がある部分の皮膚を正方形に、とても薄く採取して、真皮の凸凹を平らにした上で、90度に回転させて元の場所に植皮する手術です。
リスカなどの横方向の傷跡を薄くした上で、傷跡の方向を縦に変えることができるので、怪我の傷跡のように見えるのが最大の特徴。
切除手術や削皮手術では、皮膚のひきつれなどが起こる可能性がありますが、戻し植皮手術ではひきつれが起こりにくいというメリットがあります。
3年悩んでやっぱりタトゥーを彫ることにした
ここまでご紹介した傷跡を隠す方法を一通り試しましたが、やっぱりどれもしっくりこない…。
手術を受けることも検討しましたが、小さな子どもが居るので、抱っこができなくなることを考えると現実的じゃない。

この傷跡と一緒にこれからも生きていくなら、楽しく生きていきたい
と考えついて、2022年10月に傷跡の上にタトゥーを彫っていただきました。
※1枚目傷跡のみ注意
ファーストタトゥーの脱皮がほぼ完了しました🙌
10年ほど前の傷跡の上に掘っていただき、きれいにしてもらいました!
次は左手の甲から腕にかけてやります🙆♀️ pic.twitter.com/gDfP7wBK1o
— わちゃわちゃ (@waCha_waChasuna) October 28, 2022
同年9月にはじめてタトゥースタジオを訪れて、直接彫り師さんに傷跡の状態を見ていただきました。
ぷっくりとした傷跡なので、「絵柄が盛り上がって、少しにじむかも」とのこと。
それでもキレイに整えたくて、1ヶ月半後に施術。約3時間程度でハガキ大サイズのタトゥーを入れていただきました。
上のツイートは施術から1約週間後の写真で、かさぶたがほとんど取れた状態ですが、まだまだ完成していない繊細な状態の腕です。
施術から1か月〜1か月半程度経つと、タトゥーがしっかり皮膚に定着して完成します。
にじむことはなかったですが、写真の通りやはり傷跡のところはよく見るとぷくっとしていますね。
どんな傷跡ならタトゥーを入れられるの?
彫り師さんいわく、傷跡の上にタトゥーは傷跡が完治していれば彫ることができるそうです。
しかし、傷跡の上にタトゥーを入れるとどうしても絵柄がゆがんだり、にじんだりするので、彫り師さんやタトゥースタジオによっては対応していないこともあります。
そのため、傷跡の上にタトゥーを彫る場合は、直接彫り師さんのところに行って、状態を見てもらった方がいいですね。
以下はタトゥーを入れられる傷跡のタイプの紹介になりますが、すべて私の腕にある傷跡の状態となります。
こちらも彫り師さんに直接確認していただき、絵柄がにじむ・ゆがむなどのデメリットを説明していただいた上でOKをもらった傷跡なので、すべての方に当てはまるわけではありません。
火傷などケロイド状の傷跡
私の左腕の手の甲にある火傷によるケロイド状の傷跡です。
非常に目に付くところなので、2023年2月にタトゥーを入れました。
火傷などのケロイド状の傷跡には、「真性ケロイド」と「肥厚性瘢痕」の2種類に分けることができます。
上記のイラストは私の腕にある傷跡をイラスト化したものですが、どちらかと言えば「脂厚性瘢痕」です。
真性ケロイドの場合は、「膠原線維」という細胞が過剰に増殖することで、傷が盛り上がってしまいます。
真性ケロイドは人種的な差や、性ホルモンによって影響されることがわかっていますが、なぜ過剰な増殖が止まらないかは分かっていません。
真性ケロイドはケロイド体質があると言われていて、ニキビ の傷跡など小さな傷跡も、ボコっと盛り上がってしまいますと言われています。
以前Twitterで、「ケロイド状の傷跡にカバーアップタトゥーを掘ることはできますか?」とアンケートを行った際に、「時間が経って完全に完治していればOK」との回答をいただきました。
真性ケロイドの傷跡はボコっとしているので、「タトゥーを彫るのは無理なのでは?」と私は感じましたが、意外とプロの技術でカバーすることが可能のようです。
しかし注意点として覚えておかないことがあります。
傷跡のない部分にタトゥーを掘るよりも、傷跡があった場合は仕上がりが綺麗にならないことがあるということは理解しておきましょう。
2023.2:彫りました
先日彫っていただいたタトゥーのかさぶたがある程度取れたのでお披露目♡
植物の蔦なんだけど、これはただの雑草
何度踏まれても、抜かれても、薬まかれようとも生えてくるあの雑草です🌱空いてるスペースはまだ傷跡が目立つので、秋ごろに掘ってもらう予定です(*´-`) pic.twitter.com/U9aiir9KLQ
— わちゃわちゃ (@waCha_waChasuna) February 27, 2023
2023年2月に手の甲から肘下の傷跡の上にタトゥーを彫っていただきました。
特に手の甲のケロイドは目立つ傷跡だったので、キレイに整えていただけてとても嬉しいです!
彫り師さんによると、手の甲はとくに色がにじんだり、飛びやすいとのこと。
実際にかさぶたが取れた約2週間後には、インクの入りが甘い感じだったので、次回彫っていただくときにタッチアップをお願いすることになりそうです。
リスカなどでシワのようになった切り傷
私の場合、両腕の内側に集中している傷跡です。
リスカで同じ部位をたくさん傷つけたなどの切り傷は、真皮成分が露出するくらいの深い傷跡になっていることが多く、最終的には傷跡が残りやすくなります。
上記のイラストでは、同じ部分を複数回切り付けてシワのようになった傷跡を表しています。
このような傷跡も、タトゥーでカバーすることが可能ですが、キレイにタトゥーを彫るのがむずしい傷跡です。
リスカなどでぷっくりと膨れ上がった切り傷
私の場合、右の二の腕や左腕の内側にある肘の下にあります。
リスカなどで数回傷がついた傷跡で、ぷっくりと膨れ上がった傷跡はケロイドと思う方が多いですが、これは肥厚性瘢痕と呼ばれる傷跡です。
深い傷ほど肥厚性瘢痕になりやすく、特に関節近くに傷跡がある場合はなかなか傷跡の炎症が引かないことが特徴です。
ネット上で傷跡の上にタトゥーを彫っている方を見てみると、リスカや帝王切開などの手術の傷跡などの肥厚性瘢痕のカバーアップタトゥーのデザインを見ることができます。
2022年10月に施術していただいたタトゥーの場合、彫り師さんがデザインをしてくださったのですが、傷跡の上の部分は白インクなどでぼかして、傷跡も含めてタトゥーが完成するように彫っていただきました。すごい…ッ!
タトゥーを入れる費用はいくらくらい?
1時間 | 予約金 | |
スタジオA | 10,000円〜 | 10,000円 |
スタジオB | 8,000円〜 | |
スタジオC | 15,000円〜 |
カバーアップタトゥーを掘れるタトゥースタジオによって、料金が異なります。
また、カバーアップタトゥーを入れるサイズによっても料金が変動する他に、施術時間によっても料金が変わってきます。
大阪・横浜・東京にあるカバーアップタトゥーを掘れるタトゥースタジオの料金を調べたとこと、およそ10,000〜15,000円/1時間とみておいていいでしょう。
上記の時間は、カバーアップタトゥーに限らず、タトゥーを入れるのにかかるおおよその時間です。
先ほどの料金×時間で計算すると、カバーアップタトゥーを掘るのに必要な費用がある程度把握することができるようになります。

私の場合は予約金10,000円+当日30,000円(ハガキ大サイズ)でした
まとめ
リスカなどの傷跡を隠す方法は、
- 化粧でカバーする
- ファンデーションテープを貼る
- 手術を受ける
の3つの方法があります。
「化粧やファンデーションテープではカバーしきれない」
「手術は事情があって現実的じゃない」
という方は、タトゥーでリスカなどの傷跡をカバーすることができます。
カバーアップタトゥーは基本的には完全に傷跡が完治していれば入れることが可能ですが、以下の点を理解しておく必要があります。
- 掘る時に線がガタついたり、インクが滲む
- 色味が安定しない
- 完全には消えない
傷跡のない部分にタトゥーを入れるよりも、仕上がりはキレイにならないことを理解しておきましょう。
タトゥーを入れるのにかかる費用は、およそ10,000〜15,000円/1時間程度なので、今回ご紹介したサイズごとにかかる時間を見比べながら、おおよその費用を把握しておきましょう。