2018年6月に次男を出産した私ですが、妊娠8月の時から臨月にかけて妊娠中に「死にたい」と感じることがたくさんありました。
赤ちゃんが産まれてくるのが楽しみで、大切にお腹の中で育てたいと感じているのに、どうしようもなく今、死にたい。
次男が3歳になった今、思い返すとあれは「妊娠うつだったんだ」と思います。
「マタニティブルー」や「産後うつ」という言葉は認知されつつありますが、「妊娠うつ」という言葉を初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか。
妊娠鬱は、妊婦の方なら誰でも発病するリスクがある心の病気で、「死にたい」「気持ちが落ち込む」などの症状がみられます。
これは決してお母さんが弱いからなる病気ではありません。
今回は、妊娠うつになって「死にたい」と毎日感じていた私の体験談と、妊娠うつとは何?相談先などをご紹介いたします。
妊娠中に死にたくなる妊娠うつとは
2019年12月から新型コロナウイルス感染症が流行するようになり、生活に大きな変化が起こったことで気持ちが落ち込みやすくなっている方が多いようです。
「コロナうつ」と呼ばれるこれらは医学的根拠がないと言われていますが、何かと不安や心配事が多い妊娠中に、コロナで人と会えない、相談できない、赤ちゃんが心配というストレスは、コロナ以前と比べて大きなものだと思います。
精神科医が解説、「コロナ禍による生活環境の変化」と「うつ病」の関係|Medical Doc https://medicaldoc.jp/m/column-m/202109p1248/
妊娠うつは妊娠中になるうつ状態のことで、妊娠初期に最も発病しやすく、出産までには落ち着いていることが多い傾向にあります。
厚生労働省が提供している健康情報サイト「e-ヘルスネット」によると、母親が十分な睡眠がとれず、食欲まで落ち込み、「将来の子育てに自信が持てない」「赤ちゃんがかわいいと思えない」という気持ちから「自分はなんてダメな母親なんだ」と自分を責めてしまう状態なのに、周囲は「妊娠・出産が大変なのは当たり前だ」とお母さんの苦しみを軽視して、お母さんもまた「調子が悪い自分が不甲斐ない母親だからだ」と決めつけ、結果として適切な治療を受けていない場合が多いとしています。
よく聞く「マタニティーブルー」と呼ばれる症状なら10日程度で治まりますが、それ以上に「死にたい」や「気分が落ち込んで何も手が付かない」などの続くようなら妊娠うつの可能性があります。
- 気持ちが落ち込む
- 食欲がない
- 眠れない
- 将来の子育てが不安
- 赤ちゃんがかわいいと思えない
- 死にたい 等
このような症状があれば、可能な限り早く精神科や心療内科を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。
今すぐ死にたい…、妊娠8ヶ月でうつになった私の話
私が妊婦うつになったのは、妊婦うつになりやすいと言われる妊娠初期ではなく、妊娠後期の妊娠8ヶ月の時。当時次男を妊娠していました。
私はもともと発達障害の二次障害で抑うつ状態と診断されていて、この記事を書いている現在まで10年以上定期的に精神科に通って治療を受けています。
次男妊娠中もこれまで通り精神科に通っていましたが、妊娠が分かってすぐにこれまで服薬していた発達障害の薬や精神安定剤などの薬は全て中止して、何も飲まずに妊娠後期まで過ごしていました。
妊娠が分かった翌年の3月に10年以上お世話になった精神科の先生が退職され、私はかかりつけ医をまた新しく見つけなければならなくなりました。
そのため、妊娠うつになった当時は精神科にしばらく受診していない状態でした。
そんななか、これまでの私にはなかった症状が現れるようになります。
- 眠って3時間程度で目が覚めて、その後眠れない
- 突然悲しくなって涙があふれる
- 家事や仕事に意欲的になれない
- 1日中気持ちが落ち込んでいる
- 食欲がない
- ひたすら横になることしかできない
- 家族とすら会話ができない
- 自傷したい
- 次男の誕生が楽しみだけど、とにかく死にたい
一度心のバランスを崩した経験がある私は、「これはヤバイぞ」と感じ、その時点で自宅から近い精神科や心療内科を探しました。
しかし、どこも予約でいっぱい。最大半年待ち。
家族とすら話せない状態だったので、電話するのも勇気と気力がいることだったのですが、「予約がいっぱいです」の声に脱力してしまいました。
電話を切って数十分後に折り返しの電話があり、たまたま1週間後の予約にキャンセルが出たと連絡をいただいたので、運よく予約を取ることができました。
1ヶ月の投薬治療で症状が改善する
先生が退職する前に書いてくれた紹介状を渡し、診察の際に会話もまともにできないと分かっていたので、事前に症状を書いてプリントアウトたものをそのまま先生に渡しました。
ボロボロと診察室で泣きながら「辛い」「とにかく毎日死にたい」と泣く私に、妊娠中でも胎児に影響が少ない抗うつ剤を処方してもらい、1か月飲み続けたことでだいぶ落ち着くことができました。
あの時、自分で「これはヤバイな」と感じずに病院に行っていなかったら、自分で死んでいたかもしれない。そう思うとゾッとします。
産後うつにはならなかった
産後うつは妊娠うつを患うことで発症しやすいと言われていますが、次男出産後に産後うつを患うことはありませんでした。
これは、妊娠中に「絶対精神的に体調崩す!準備できることはやっておこう」と思って、家事を楽できるサービスの申し込みや、実母の協力を得てなんとか産後をやり過ごしたからでもあります。
それでも精神的に不安定な日が多かったので、妊娠うつの症状が落ち着いても、定期的に通院して話だけでも聞いてもらったり、体調を崩さないように処方薬で予防するなど対策が必要です。
死にたいと思った時に利用できる妊娠うつの相談先
妊娠うつでひょっとしたら死んでいたかもしれない私は、「妊娠うつかな?」と感じたら、早めに専門機関への相談をおすすめします。
できれば精神科や心療内科を受診することが理想ですが、近くに精神科や診療科がない場合や、とにかく気持ちが落ち込んでしまい、今すぐ話を聞いてもらわないと気が狂いそうという場合は、以下で紹介する相談先で話を聞いてもらうことができます。
1.全国のにんしんSOS相談窓口
各自治体が行っている、あるいは民間団体や独自事業による妊娠専門の相談窓口を集めた「全国のにんしんSOS相談窓口」です。
保健所や助産師会、NPO法人などに繋がり、妊娠鬱などの妊娠に関する悩みを相談することができます。

自治体によって相談受付時間が異なるので、電話の前に確認しましょう
2.妊娠SOS
望まない妊娠によって悩みを抱えている人のための専用相談窓口「妊娠SOS」です。
望まない妊娠や計画外の妊娠で気持ちが落ち込んでいるなど、妊娠に関する相談を24時間いつでも受け付けています。
3.よりそいホットライン
「どんなひとの、どんな悩みにもよりそって、一緒に解決する方法を探す」をコンセプトに、24時間 通話料無料で相談できる相談窓口「よりそいホットライン」です。
専用ダイヤルに電話すると、相談窓口ごとの音声ガイダンスが再生されるので、該当する番号をタップします。
4.かかりつけの産婦人科
産婦人科によって、妊婦専用の電話相談や助産師外来を行っている場合があります。
私が出産した産婦人科では、妊婦であれば24時間いつでも相談できる専用ダイアルを設置していました。
このダイアルは結局、産気づくまで利用することはなかったのですが、もし専用のダイアルが用意されているなら、一度電話で相談してみましょう。
また助産師外来では、助産師さんによる妊娠中や育児中の悩みを相談することができます。
まとめ
- 妊婦や産後の女性はうつになりやすい
- 周囲の人が「それぐらい」と言っても、あなたが辛ければ病院を受診すべき
- 私は病院を受診したから今日、生きている
- 妊娠中に薬を飲むことは不安だけど、処方された薬はちゃんと指示通り飲もう

妊娠中や産後に10日以上ゆううつな気持ちが続いたら病院に行く!
家族や子供を大切にする前に、まずは自分を大切にしよう。